前田獣医科医院 院長
前田 浩人 先生
診断 胸腰部椎間板ヘルニア グレード分類: 3
TSCIS(Texas Spinal Cord Injury Score) : 3 点(歩様:左後肢1点痛覚:右後肢1点・左後肢1点)
併用薬 プレドニゾロン0.5mg/kg 10日間
2020年後肢跛行を主訴に来院し椎間板ヘルニアが示唆された。重症度は高くなかったため内科的保持療法を選択し数日後には改善が認められた。同年5月に同様の症状で再来院したが、内科的保持療法で再び改善が認められた。2023年8月両後肢起立不能状態で再々来院し腰部椎間板ヘルニアG3と診断し、大学附属獣医療施設にて精査を推奨したが、飼主は転院を希望しなかった。そこで同月からステムキュア2mLの3回投与計画による細胞治療を開始した。患犬は1回目投与7日後に改善が認められ、飼主の希望により2回目以降の投与を見合わせて経過観察とした。投与69日後に明らかな歩行改善と自力排尿が可能となり著効と評価した。なお副作用は認められなかった。
【主治医コメント】
初回発症から3年の間に同様の症状を2回再発した。飼主は、重症化した3回目は手術ではなく細胞治療を希望した。本剤投与34日後に
おいて症状は中程度の改善であったが、投与69日後には明らかな改善が認められた。
本剤の臨床開発試験では、投与後の観察期間は4週間で評価されたが、本症例は投与4週以降も改善度が向上した。当院では10例近く
本剤による細胞治療を実施しており、本症例のように細胞治療8週以降に改善度が増す症例を複数経験している。
・症例動画
TSCIS (Texas Spinal Cord Injury Score) : 3 点(歩様:左後肢1点 痛覚:右後肢1点・左後肢1点)
併用薬 プレドニゾロン0.5mg/kg 7日間
【経過と症状】
2023年6月大学附属獣医療施設でMRI検査により頸腰部椎間板ヘルニアと診断され、今後下半身不随になる可能性もあると指摘された。しかし、飼主は手術を希望せず、NSAID'sを約9カ月間継続投与したが明らかな改善はなかった。患犬は、歩行は可能であったが、動作は緩慢で車の乗り降りは不可能であった。当院でステムキュア8mL(2mLX4バイアル)の3回投与を計画し、2024年2月に1回目の投与したところ7日後に改善が
認められた。飼主の希望により2回目以降の投与を見合わせ経過観察とした。投与33日後には明らかに歩行が改善し著効と評価した。なお副作用は認められなかった。
【主治医コメント】
飼主はもう一度元気に歩行させたいと切望しており、飼主の心情と患犬の年齢を考慮して細胞治療を提案した。インフォームドコン
セントでは、有効性と安全性に加えて費用についても詳細に説明し、飼主は納得して細胞治療を希望した。大型犬であるため飼主の
費用負担は高額になったが、飼主が強く望んだ歩行が明らかに改善し印象に残る症例であった。
・症例動画