神奈川県 西湘動物病院 瓢子 華観 先生
日本獣医皮膚科学会理事 強矢 治 先生
犬のアトピー性皮膚炎において抗炎症薬などの全身投与で管理が良好であっても、耳や肢端をはじめとする局所の痒みの
コントロールが難しいケースを多く目にする。今回前肢の指間を痒がるとのことで来院し、アレリーフ®ローションを使用して
著効が得られた症例を報告する。
3歳頃から全身の掻痒および外耳炎を繰り返しており、最近症状が悪化してきたとの主訴で来院した。一般状態は良好
であり、全身性の軽度脂漏のほか四肢指間の紅斑および左右の外耳炎を認めた。
各種皮膚科学的検査および除去食試験などを用い、脂漏症を伴うアトピー性皮膚炎と診断した。
耳介内側の苔癬化と腫脹が重度であったため、プレドニゾロンの内服およびモメタゾン含有点耳薬の耳介への塗布で
治療を開始した。外耳炎症状の改善とともに徐々に内服薬をオクラシチニブヘ移行したが、脂漏ならびに掻痒のコント
ロールが不十分であったため、シクロスポリンに変更した。その後シクロスポリンの隔日投与ならびに角質溶解シャン
プーと保湿入浴剤による週1回のシャンプーおよびスキンケア療法によって良好に維持されていた。
初診から12カ月後に、数日前から前肢を祇めているとのことで再来院した。全身の掻痒の悪化はなく、外耳炎も認め
られなかったが、左右ともに前肢指間に脂性鱗屑および紅斑を認め(写真1)、皮表細胞診検査にて微生物の増殖が認め
られなかったため(写真2)、アトピー性皮膚炎の局所的な再燃と診断した。アレリーフ®ローションを1日1回7日間
塗布したところ、左右ともに前肢指間の祇性行動や鱗屑および紅斑が減少したためアレリーフ®ローションを休薬とした(写真3)。
今回シクロスポリンの投与により長期間安定していたアトピー性皮膚炎の二次感染を伴わない再燃に対して、局所の炎症を
抑える目的で全身性の副作用のリスクが少ないアンテドラッグステロイド単剤であるアレリーフ®ローションによる外用
療法を選択した。その結果内服薬の追加や、用量および投薬頻度を増やすことなく肢端の痒みと炎症をコントロールする
ことができた。さらに本症例の場合オーナーが妊婦であり、直接薬剤に触れることなくノズルから直接塗布できる設計の
アレリーフ®ローションは、人体への安全性の観点から満足度が高かった。